2.2次試験対策

2次試験は即興スピーチです。その場で与えられたテーマで2分間のスピーチをおこないます。準備時間はたったの1分間です。その間に自分の考えをまとめ、要領良く相手を説得しなければなりません。スピーチの後、約7分の質疑応答があります。2人の試験官(日本人と外国人)から、trickyな質問がだされます。納得してもらえる答えをしなければなりません。

とにかく難しいのは話す内容をもつことです。英語そのものでは決してありません。昔、やさしいビジネス英語の杉田敏先生がいっていました。語学上達の秘訣は話す内容をもつことだと。その通りだとおもいます。トピックは環境問題から、哲学的なものまでさまざまです。普段、考えてしっかり意見をもっていないと2分間話すのは日本語でも難しいと思います。いろいろな分野を網羅して満遍なく勉強しておく必要があります。



     「私が実際にやったこと。」

     1)スピーチ原稿の作成

まず2分間のスピーチの作成になれる必要があります。どんな構成にするのか、分量はどのくらいか、などです実際の試験では即興でスピーチをするわけで、十分な準備はできません。だから、最低でも時間に余裕がある状態ではある程度のレベルの原稿はかけるべきです。最初はなれるため、徐々に、質を高める努力をしました。108つ(人の煩悩の数)以上の原稿を書かなければ受からないと言っている人がいるそうです。私も質はどうあれ100ぐらいは書きました。ただ、私は手書きで紙に書いていました。今考えてみると、パソコンで電子ファイルにまとめておけばよかったと思っています。あとで、いくらでも修正がきくからです。手書きの文章だとあとで文章を変更するのが無理ですし、メールなどでのやりとりもできません。修正を繰り返すことで、質の高い原稿にできます。また、nativeに少しですがチェックをしてもらいました。しかし、文法などのチェックになってしまいがちでした。この2次試験では英語そのものよりも話す内容に重きがおかれています。そこを履き違えないようにこころがけました。

またご好意で原稿を公開しているホームページを会社の先輩より教えてもらえました。たいへん参考になりました。ここで、ご紹介したいと思います。

スピーチリスト(http://member.nifty.ne.jp/menma/topic.htm )

     2)使いたい英文フレーズの暗記

基本的に英語を使って生活していませんので自然な英語がでてきません。いいたいことがあって、英語に直せますが、このいいたいことがスピーチに値する内容ではありませんでした。どうしたらいいか悩みました。結局、参考になる文章をたくさん読んで、使えるフレーズをどんどん暗記しました。そしてブランクカードを買い、表に日本語、裏に英語を書きました。通勤途中など暗記に役立てました。声にだしてつまらなくなるまで、練習をしました。ここでは参考にした書籍をご紹介いたします。

NHK「ニュースのキーワード」      講談社インターナショナル株式会社 1200円
ベストオブ天声人語            講談社インターナショナル株式会社  1300円
英語で意見・考えを言える表現2400  ベレ出版                  1800円

     3)トピックに応じた話す内容のリストアップ

スピーチの原稿を書いてみても、いざ、スピーチとい時に頭が空っぽになるかもしれません。苦労して原稿を書いたのですから、今度は、その内容を話せるようにしておきました。各テーマにしたがって、
・導入
・自分の主張
・自分の主張の理由付け1(例をふくめる)
・自分の主張の理由付け2(例をふくめる)
・結論
をまとめていきました。この作業をやっておけば、トピックに覚えがあれば話す内容が出てこなくなることはありません。原稿を書くよりもこちらのほうが、効率的だったかもしれません。上記の内容にかぎらず、たとえば、トピックに対して多くの項目出しをしてもいいと思います。例えば、環境問題、教育問題、テクノロジー関係などよくでる大きなテーマがあります。これらに対して、自分は何がいえるのかをまとめておくことです。

     4)専門予備校への通学

1次試験もそうでしたが、2次試験も予備校に通いました。自分の力だけでは、私の場合、合格は難しかったと思います。2次試験はテソーラスハウスという2次専門校にいきました。雑誌「ENGLISH JOURNAL」にも紹介されています。毎週1回、2時間、1クラス10名程度です。毎回、即興スピーチをさせられ、NATIVEと日本人の先生に指導されます。生徒同士での意見の交換もあります。先生はとても熱心で、英検2次をよく知っており質の高い指導をしてもらえます。また、いろいろ個人的な質問にも丁寧に答えてもらえました。ぜひ、合格するようにと思っている人が自分以外にいてくれていると思い心の支えになりました。いっしょに学んだ生徒もみなさんとても真剣で刺激をうけます。2次試験にかける情熱で圧倒されるほどです。情報交換もできます。

クラスではとにかく自分のスピーチは良いものにしようと思いました.だからこそ、いままで書いてきたことをしっかりやり、ここで披露という姿勢で勉強しました。多くの人がきいているので、とても緊張しました。この緊張感があったからこそ、合格できる力がついたのだと思います。あとで、ああいっておけばよかったと思うことばかりでしたが、次につなげました。時間配分から、声の出し方まで、本番を意識した練習ができました。

また、他の生徒のスピーチを聞くことができます。なんといっても、私は話す内容があまりでてこないので、他人の意見は参考になりました。なるほど、こういう方向で話せるのか、こんな事例があるのか、などです。それらは、どんどんメモをとり、自分のものにしていきました。使えるフレーズなども自分のものになるように吸収していきました。具体的には紙に書きだして、つまらなくなるまで、口にだしました。

この学校では模擬試験もやっています。試験直前の力試し、本番で緊張しないための練習として役立ちました。本番と同じ形式で、座り方などから、細かなチェックをしてもらえます。また、原稿の添削もしてもらえたので、どんどん活用しました。

私の合格はこの学校あってのものでした。。あらためて、お世話になった、心配していただいた先生たちに感謝しております。

最後にこの学校のURLを記入しておきますので、ぜひ、のぞいてみてください。
テソーラスハウス(http://www.eiken-thhouse.com/

5)過去問の分類および予測
最後はいったい何がでるのか予想してみました。結局、トピックによって、得意、不得意があります。トピックしだいだなという感があったからです。自分なりの分類です。参考にしてみてください。それぞれのトピックに対して、話す内容を準備しておけば自信がつくはずです。
              
1997年春 1997年秋 1998年春 1998年秋 1999年春 1999年秋 2000年春 2000年秋 2001年春
AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM
1)コンピュータ
2)人口問題
3)医療関係
4)環境問題
5)教育問題
6)国際関係
7)会社関係
8)核問題
9)政治関係
10)哲学関係
11)個人
12)科学関係
13)生活
14)社会
15)女性問題
16)タバコ、酒
17)はやり
18)都市機能
19)メディア
20)文化
21)英語
22)スポーツ
23)若者
24)危機管理



     「スピーチ本試験での心構え」

     私が感じたスピーチ合格のコツについてのべさせてもらいます。

     0)試験当日

 試験当日の服装についてです。私は3回目にようやく合格しました。失敗したときの2回はスーツを着ていきました。この試験は1点差で不合格Aになる場合が多く、1点でも点数を稼ぎたかったからです。しかし、合格したときは軽装でした。そこで思いました。普段着ないスーツなどを着るとかえって気負いしてしまい、スピーチがぼろぼろになりかねません。スピーチはメンタルなものです。着慣れていてリラックスできる服装が一番適しているようです。特に7月の試験はたいへん暑く、スーツを着ているとそれだけで、思考がやられてしまいます。試験会場で周りをみてもしっかりスーツを着ている人は少ないと思いました。

 試験会場には少し早めに行きましょう。何事も余裕をもってあせらないようにしましょう。私はいつも試験が午後からだったので、昼前に近くの喫茶店で軽食をし、いままでやってきたことのまとめ原稿に目を通しました。直前に新しいことをやろうとするとかえって混乱してしまいます。例えば、その日の朝の新聞の内容をスピーチにもりこもうとすることは私にとっては絶対にやってはいけないことでした。とにかく、いままでやってきたことはきっちり試験でだしたいという気持ちでの最終チェックをおこないました。

 試験開始時間は午後の場合、1時からとか2時からとか人によって異なりますが、あくまでも目安であり、2時からの人も1時に入れば受け付けされます。あまり早めに行きすぎず、遅すぎずがいいようです。1時半くらいに会場入りするのが午後受験の人にとってはいいと思います。

 試験会場では、偶然隣に座った人にでも話しかけてみましょう。どうすれば受かるとか、どうやって勉強してきたとかです。貴重な情報を聞けるかもしれません。また、私も同じ受験生で、他の人もこれから私と同じ1級を受ける受験者だということで、気分的に楽になるはずです。そうです。他の人もまだこの時点では1級に合格していないのです。

 待合室で控えていると、5、6名単位で試験場の教室前の廊下に移動することになります。ここで待っている時間がたいへんたちが悪いです。この時間が長いと妙に緊張してしまいます。廊下でまっている間はトイレに行ったり、水を飲んだり、軽く動いた方が良さそうです。また、静かにしていると、教室から、笑い声等きこえますが、時に、試験内容にまつわる単語が聞こえてくる場合があるそうです。耳を澄ませば、1点分の貴重な情報が手に入るかもしれません。気をぬかないで、貪欲に構えましょう。


     1)スピーチ前の自由会話(1〜2分)

 「どこから来ましたか?」、「仕事は何をしていますか?」いう簡単な質問の場合もあるらしいです。私が合格したときの第一の質問は、「日本の通勤事情を一言でいうと何ですか?」というものでした。私はたまたま長距離通勤をしていたので、「忍耐(patience)」と答えました。そして、その理由として、すし詰め状態の満員電車の中の人を魚の鰯にたとえました。この引用例自体よくあるものですが、ネイティブの試験官(女性)が少しうけていたように感じました。短い試験時間の間に、自分を少しでもアピールできることが言えれば、成功だと思います。日頃から、そういう題材を多く集めておく必要があります。同様の引用例として、日本の住宅事情にウサギ小屋を引用するのも基本といえます。

 それから、リラックスすることです。この自由会話の間にぜひ試験官をよく観察しましょう。まずおさえておきたいことは、二人の試験官にはそれぞれ役割がどうもありそうです。一人はこちらに好意的、もう一人は懐疑的です。これまで多くの受験者と話をしてきましたが、必ずこのパターンのようです。自由会話の間、こちらは見られているばかりでなく、逆に試験官を見て役割分担や雰囲気を見てみましょう。こうすることができれば、試験場の雰囲気に慣れることができると思います。試験官を見るという行為は、視線をしっかり試験官に合わせるということにもつながり、好印象を与えるはずです。

     2)スピーチの選択と内容の整理(1分)

 緊張していると、あっという間に自由会話が終わってしまいます。いよいよ本番のスピーチです。試験官より目の前の机の上にあるトッピックカードを引っくり返して5つのトピックから一つ選ぶように指示をうけます。ゆっくりめっくってざっと目を通してください。選択に与えられているのはたったの1分です。のんびり構えている暇はありません。とにかく最初の15秒でトピックを決めましょう。いろいろ準備勉強していると、最後に選択肢が二つ残ってしまい、どちらにするか決められない場合が多いようようです。それでだらだら時間が過ぎてしまい、大切な内容の整理ができなくなります。思い切って、どちらかに即決しましょう。まさに決断です。トピックを決めたら、内容整理に一直線です。別のトピックにしとけば良かったといった後戻りは絶対に失敗のもとです。残り40秒で内容整理をしましょう。

 決めることは、1)導入をどうするか。
          2)自分の主張(賛成か反対か、PROとCONのどちらのスタンスをとるか)
          3)自分の主張の理由付け1(例をふくめる)
          4)自分の主張の理由付け2(例をふくめる)
          5)結論(だから、最初の主張を自信をもっていえますよ。)

 もちろん、全て細かく40秒で文章までまとめられるはずがありません。話す内容の大枠を決めるということです。あとは、英語の実力がものをいいます。いままでの準備を思い出して、落ち着いてスピーチに望みましょう。

 ひとつだけ注意したいことがあります。それは、トピックが難しくても顔をしかめたり、いやな顔を絶対にしないことです。どんなトピックがきても、涼しい顔でいることが、試験官に少なくとも悪い印象は与えないでしょう。1分が過ぎれば試験官が「トピックは決まりましたか?」と聞いてきますので、内心はどうであれ、軽い笑顔で「YES!」と答えましょう。
3)スピーチ(2分)
 いよいよスピーチ本番です。ここまできたら覚悟は決まっていると思います。とにかく最善の努力をしましょう。やれることをやるだけです。

 姿勢は背筋をのばして、堂々としていましょう。2次試験は国際人としてふさわしいかということも採点内容に含まれています。貧乏ゆすりをしたり、体を前後にゆさぶったり、頭を掻いたりなどはやってはいけません。これらのことはみなさんわかっていることですが、なかなか自分では気づかないことでもあるようです。スピーチの練習は一人ではできないということはここにもいえます。緊張したりして、知らないうちに体が自然に動いてしまうようです。普段はだれも注意してくれないことでもあります。「無くて七癖」とはうまくいったもので、かならず何かあります。できれば、試験前に第3者に見てもらう、あるいは、自分のスピーチをビデオ撮影するなどをしてチェックしておくべきです。そこででてきた注意事項はきちんとメモして、試験前にもう一度見直すべきです。知っていてもやってしまうのが癖というものだからです。1点差で合否がきまるとても厳しい試験ですから、この点にも気をくばりましょう。

 視線はいつも試験官に合わせましょう。2人いますので、交互に話かけるようなイメージです。たぶん、試験官はうなずいてくれていたり、あるいは、ニコっとしてくれたりすることもあると思います。あるいは、真剣に聞いていたり、メモをとっていたりしていると思います。様子をうかがいましょう。聞き手があってのスピーチです。決して、一人芝居であってはなりません。

 間違ったり、訂正したいことがあったら、その場で直してもかまわないと思います。むしろ、言い直した方が良いと思います。もちろん、スピーチ全体を大きく変えてしまうようなことは避けるべきです。小さな間違いなどは、自分で気が付いたら、即、修正するself−correctionの能力も評価せれるはずです。

 基本的には自分の主張の裏付けは2つ入れるものだそうです。しかし、どうしても2つめがでてこない場合もあると思います。しかし、1つの例しかいえなくても、合格している人は大勢いるようです。どうしても1つしかいえないときは、その一つを膨らませましょう。沈黙の時間はできるだけ作らないようにしましょう。

 スピーチが2分を超えると、スタッフの人がベルを鳴らして、終わりを告げますが、5秒くらいは時間をくれるようなので、そこでなんとか無理やりにでもまとめてしまいましょう。いいたいことが残っている場合には、質疑応答でカバーしましょう。あまり長すぎると面接官から直接、スピーチの途中でも強制終了されてしまいます。これは減点です。

     4)質疑応答(約5分)

 スピーチはどうだったでしょうか。満足できるスピーチができた人はあと少しです。スピーチに失敗した人も、なげやりにはならず、一部の望みにかけてみましょう。質疑応答でも挽回はできます。2分間のスピーチで言えなかったことなどを、ぜひ、ここに盛り込みたいものです。6つくらいの質問と考えて、ひとつの質問にたいして、40秒程度で返答していきたいものです。

 面接官より交互に質問がありますので、適宜答えてください。長すぎず、短すぎずです。返答方法ですが、英語での基本となりますが、まず、答えをのべ、その理由をのべます。つまり、YES/NOの質問には、YESかNOかまず答えて、理由をのべます。WHAT/Howの質問でも同様です。答えるときは、質問者だけではなく、もう一人の面接官ともしっかり視線を合わせるようにしましょう。

 ひとつポイントになるのは、ここで面接官に質問するということです。質問の意味がわからない時(あるいはそのふりをして)、「あなたの質問はこういうことですか?」とい内容を自分の言葉で伝えてみてください。積極性のポイントがあがるはずです。

 質疑応答終了後はかならず、もう一度、両面接官と視線を合わせながら、「Thank you very much.」と感謝の気持ちを伝えてから、退室してください。これで2次試験は終わりです。お疲れさまでした。

2000.06.04.更新
2000.07.08.更新
2000.08.15.更新
2000.11.12.更新
2001.01.28.更新
2001.08.18.更新
2002.03.31.更新


Aoki's Web Page TOP へ